論文・レポートで生成AIの使用を明記する方法:日本語の記載例と国内外の方針
論文やレポートで生成AIの使用をどう明記するか。書くべき6項目、記載場所、日本語の記載例、国内の学会・大学と主要ジャーナルの方針をまとめました。
論文で生成AIの使用を明記するときは、使ったツールとモデル(バージョン)、使った時期、AIにさせたこと、論文のどの部分に使ったか、出力をどう確認したか、そして内容の責任は著者にあること、の6点を書きます。書く場所は投稿先の指示に従います。研究そのもの(データ解析やコードなど)に使った場合は「方法」、文章作成の手伝いは「謝辞」や独立した「AI利用の申告」欄、図への利用は図の説明文(キャプション)に書くのが一般的です。
日本でも、学会誌や大学の学位論文の規程で「どの部分に、どのツールを、どの目的で使ったか」を書くよう求める例が出てきています。校正だけでも明記が必要かどうかは、出版社によって異なります。
この記事では、記載例(日本語と英語)、日本の学会・大学の方針、海外の主要出版社の方針を順に紹介します。海外出版社の方針は2026年10月9日、日本の学会・大学の資料は2026年10月31日に、各機関のページで確認しました。方針はよく変わるので、投稿前にリンク先を確認してください。
生成AIを使った論文は「バレる」のか#
文章だけを見てAIの使用を確実に見分ける方法は、今のところありません。
OpenAIは2023年1月、AIが書いた文章かどうかを判定するツールを公開しました。同社の評価では、英語のテスト用文章のうちAIが書いたものの26%しか「AIが書いた可能性が高い」と判定できず、人間が書いた文章の9%を誤ってAIの文章と判定しました。同社は2023年7月20日、「精度が低い」としてこのツールの提供を終えています(OpenAI)。また、Liangらの研究(2023年、Patterns 誌)は、広く使われている複数のAI判定ツールが、英語を母語としない人の文章を一貫してAI生成と誤判定することを示しました(arXiv 2304.02819)。英語で論文を書く日本の研究者にとって見過ごせない結果です。どちらも2023年のツールについての数字なので、今の精度を示すものではありません。
一方で、はっきり気づかれる痕跡もあります。存在しない参考文献や、LLMのメタコメント(AIの返答の一部が論文にそのまま残ったものなど)です。arXivのコンピュータサイエンス部門の責任者は2026年5月、著者がLLMの出力を確認しなかった「確定的な証拠」がある投稿には1年間の投稿禁止を科すと告知しました(詳しくは存在しない参考文献を見抜く方法)。
そして問われるのは、見つかるかどうかより、明記したかどうかです。医学雑誌編集者国際委員会(ICMJE)は、AI使用を明らかにしないことは「是正措置が必要になる場合があり、状況によっては不正行為とみなされうる」としています。九州大学工学部・工学府の申し合わせも、生成AIから得た情報の真偽や著作権の確認は著者の責任であり、場合によっては捏造・剽窃・盗用などの不正行為に当たり処分の対象になりうる、と定めています。逆に、Springer Natureは、AI使用の申告が「編集上の判断に悪影響を与えることはない」と明言しています。迷ったら書く、が基本です。
明記すべき6つの項目#
出版社によって「AI利用の申告」「AI disclosure statement」など呼び方は違いますが、求められる内容はほぼ共通です。Wileyはツール名とバージョン、使った日付か年、ツールの役割、影響を受けた箇所、著者がどう指示・確認したかを挙げています(Wiley)。PLOSは、ツール、使い方、影響した範囲、出力の妥当性をどう評価したかを求めます(PLOS)。Taylor & Francisは、ツールの利用規約を確認したことも書くよう求めています。
まとめると、次の6つに答えられれば十分です。
- どのツールとモデルか:製品名と、その時点で表示されていたモデル名やバージョン
- いつ使ったか:年月、または期間
- 何をさせたか:校正、翻訳、文献の検索、要約、コード作成、分析、下書き、図の作成など
- どこに使ったか:影響した章・節、図、スクリプト、データセット
- どう確認したか:人が何を、どのように確かめたか
- 責任は誰にあるか:著者が出力を確認し、内容に全責任を負うという一文
最後の一文は形式ではありません。ICMJEは、AIは「もっともらしく聞こえるが、誤っていたり、不完全だったり、偏っていたりする出力」を生みうるため、AIを使って作った投稿物の責任は人間にあるとしています(ICMJE)。
日本の学会誌の方針も同じ方向です。日本森林学会誌編集委員会の基本方針(2025年12月23日)は、生成AIを原稿作成に使った場合、「具体的にどの部分にどのツールをどのような目的で利用したかを本文中に開示」するよう求めています。
どこに書くか:方法、謝辞、カバーレター#
書く場所は、使い方の種類で決まります。2026年10月9日に確認した方針では、次のように分かれています。
- 研究に使った場合(データ収集、分析、コード、モデル化、体系的な文献検索)は、再現できる程度の詳しさで方法に書きます。ICMJEは「使ったツール、バージョン、該当する場合はプロンプト」を求めています。COPE、Elsevier、Wiley、Taylor & Francis、PLOS、ACM、Scienceの各誌も同じです。IEEEだけは、コードを含むAI生成物をすべて謝辞に書くよう求めています。
- 文章作成に使った場合(下書き、言い換え、翻訳)は、ICMJE、Wiley、IEEE、Science誌では謝辞に書きます。Elsevierは参考文献の直前に独立した申告欄を、Taylor & Francisは「Declaration of AI use」という申告文を求めています。
- 図に使った場合は、図の説明文に書きます(Elsevier、Wiley、Taylor & Francis、PLOS、Springer Nature)。Elsevier、Taylor & Francis、Springer Natureは全体の申告文にも書くよう求めています。
- カバーレター:ICMJEは「カバーレターと投稿原稿の両方」にAIの使用を記載するよう求め、Science誌もカバーレターと原稿の両方への記載を求めています。
ICMJEは投稿時に「AIを使ったか(はい/いいえ)」を答えさせるよう雑誌に求めているので、投稿フォームにも質問があるはずです。論文の記載と矛盾しないようにしてください。
雑誌ごとの投稿規程は、出版社全体の方針より優先されます。たとえばTaylor & Francisは、傘下の一部の雑誌では「言語の改善を超える生成AIの利用を認めない場合がある」としています。
日本の学会・大学は何を求めているか#
日本の方針は、学会誌の投稿規程と大学(学部・研究科)の規程が中心です。2026年10月31日に確認した主な例は次のとおりです。
| 方針(日付) | 対象 | 記載について | その他の主な点 |
|---|---|---|---|
| 日本森林学会誌編集委員会「日本森林学会誌における生成AI利用に関する基本方針」(2025年12月23日) | 日本森林学会誌の原稿と査読 | どの部分に、どのツールを、どのような目的で使ったかを本文中に開示 | 生成AIは著者になれない。査読者と編集委員は公開前の原稿を生成AIにアップロードしてはならない |
| 教育システム情報学会「研究活動における生成AI利用に関する基本方針」(2023年8月7日) | 学会の出版物、研究会資料、大会の予稿など | 研究の過程で使った場合も、従来のツールと同様に適切な章や節に記載。ツールの利用規約に表記の指示があればそれに従う | 生成AIは著者資格を持たない。説明責任は著者にある |
| 九州大学工学部・工学府「学位論文における生成AIの利用に係る申し合わせ」(2023年11月22日) | 卒業研究論文、修士論文、博士論文(生成AI自体を研究対象とするものを除く) | AIが作った文章をコピーして使う場合は指導教員の許可が必要。量にかかわらず範囲を明示し、生成AI名、バージョン、使ったプロンプトを参考文献や脚注などに明記 | 自分の文章の校正は使用比率の上限なし(剽窃チェックソフトでの確認を推奨)。生成AIが共著者の論文は博士論文の論文目録に載せられない |
| 九州大学「教育における生成AIの利活用に関する基本姿勢」(2023年8月) | 全学の教育 | 使用が認められている場合でも、AIを利用した旨やAIから引用している旨を明示 | 提出前に、生成物の使用が認められているかを確認する |
| 京都大学医学研究科「修士論文における生成AI利用について」(2023年10月掲載) | 修士論文 | どの生成AIをどのように使ったかを、Methodsの項などに記載 | 出力をそのまま使うことは不適切。文章校正や翻訳補助としての使用は認める |
国の機関について。2026年10月31日時点で、文部科学省、日本学術振興会(JSPS)、科学技術振興機構(JST)のいずれについても、論文での生成AIの記載方法を定めた拘束力のある統一ルールは、私たちが調べた範囲では見つかりませんでした。文部科学省が2023年7月13日に大学・高専へ周知した「大学・高専における生成AIの教学面の取扱いについて」は、教育面での参考資料です。
日本学術会議の提言「生成AIを受容・活用する社会の実現に向けて」(2025年2月27日)は、生成AIの研究開発体制、運用、制度設計、教育について社会全体に向けた提言です。ハルシネーション(「事実と異なる情報を出力すること」)などのリスクと、仮説生成や論文による知識流通での活用の両面を取り上げ、「我が国の大学においても、様々な利用ポリシーが定められつつある」と述べていますが、論文での記載方法を定めるものではありません。
研究公正の場での議論は始まっています。文部科学省の研究公正推進事業として、日本医療研究開発機構(AMED)が主催し、JSPSやJSTなどが共催する研究公正シンポジウム「研究の未来と公正性~生成AI時代の研究公正の課題とは~」が、2026年11月30日に会場とオンラインで開かれる予定です。
所属機関や投稿先の規程がある場合は、それが最優先です。学位論文なら、まず学部・研究科の規程と指導教員の指示を確認してください。
校正や翻訳だけでも明記が必要か#
場合によります。出版社の方針が最も分かれる点です(2026年10月9日時点)。
- 申告不要:Elsevier、Wiley、PLOS、Science誌では、綴りと文法の修正だけなら申告は要りません。IEEEは「必須ではないが推奨」です。ACMの現行方針(2026年5月14日更新)は、文章作成でのAIの手伝いについて申告を求めていません。
- 申告が必要:Springer Natureは、文法や言語の編集を低リスクとしつつも「使い方を明確に記述し、著者の責任を確認する」よう求めています。Taylor & Francisは「生成AIツールのあらゆる利用」の申告を求めます。ICMJEは、文法だけの例外を設けずに文章作成の手伝いを謝辞に書くよう求めています。
例外の範囲は狭く読むべきです。Elsevierは文法・綴り・句読点の基本的なチェックを例外としつつ、ツールが「文の構造や文章の構成に実質的な変更を加えた場合は申告すべき」としています。IEEEが謝辞なしで認めるのは、ツールが「意味を変えず、新たな知的内容を加えない」場合だけです。チャットAIに段落を読みやすく書き直させるのは、たいてい文法チェックの範囲を超えます。
日本語で書いた原稿をAIで英訳する場合も注意が必要です。翻訳は一般に編集以上の利用とみなされます。WileyとScience誌は申告を必須とし、Taylor & Francisは翻訳を確認した著者の名前を申告に含めるよう求め、PLOSは申告を推奨しています。
迷ったら書いてください。Wileyのガイダンスも、迷ったときは申告するよう(err on the side of disclosure)勧めています。
主要ジャーナルの方針比較(2026年10月9日確認)#
各行は、出版社や団体の公式ページを2026年10月9日に開いて確認したものです。「記載なし」は確認したページがその点に触れていないという意味で、何をしてもよいという意味ではありません。
| 方針(ページの日付) | AIを著者にできるか | 記載場所 | 校正・文法のみ | AI生成画像 |
|---|---|---|---|---|
| ICMJE(2026年1月更新) | 不可 | カバーレターと原稿。文章の手伝いは謝辞、データ収集・分析・図の作成は方法 | 例外の記載なし。文章作成の手伝いは謝辞へ | 図の作成は方法に記載。AIが作った画像に盗用がないことを著者が表明できること |
| COPE(2023年2月13日見直し) | 不可 | 方法(またはそれに準じる節)にツールと使い方 | 例外の記載なし | 画像や図版の作成に使った場合は申告 |
| Nature Portfolio / Springer Nature(日付なし) | 不可 | 原稿内。分析での利用は方法、画像は説明文 | 申告が必要(低リスク扱いだが使い方を明記) | 検証可能なデータや資料に基づき申告したものに限る。それ以外は不可 |
| Science誌(AAAS)(AIガイドライン、2026年9月) | 不可 | カバーレターに加え、方法(コード、データ)または謝辞(下書き、翻訳)。モデル名とバージョンも | 申告不要 | 説明用の画像や図は原則不可(編集者の判断で例外あり) |
| Elsevier(2026年6月更新) | 不可 | 参考文献の直前の独立した申告欄。研究での利用は方法、画像は説明文 | 基本的な文法・綴り・句読点は不要。実質的な書き換えは申告 | 説明用の画像は可(説明文に記載)。研究の一次画像の作成・改変は不可 |
| Wiley(倫理指針、2026年7月更新) | 不可 | 下書き・編集・翻訳は謝辞、研究での利用は方法、画像は説明文 | 綴り・文法・一般的な編集は不要 | イラストやデータの可視化は申告すれば可。証拠となる画像のAI編集は不可 |
| Taylor & Francis(日付なし) | 不可 | 「Declaration of AI use」の申告文。研究での利用は方法、図は説明文 | 生成AIの「あらゆる利用」が申告の対象 | データの可視化や概念図は可。結果や診断画像などの研究成果の生成・改変は不可 |
| PLOS(日付なし) | 不可 | 方法、謝辞、図の説明文 | 不要。翻訳は申告を推奨 | 説明や結果の要約のためなら可(説明文に記載) |
| IEEE(運営マニュアル、2026年6月25日改訂) | 記載なし | 謝辞。システム名と影響した節 | 必須ではないが推奨 | AI生成の図や画像は謝辞で申告 |
| ACM(2026年5月14日更新) | 不可 | 研究に使った場合は方法(コード、データセット、図表を含む) | 文章作成の手伝いは申告不要 | 結論に関わるAI依存の図表は方法へ |
| arXiv(日付なし) | 不可 | 論文内に、分野の方法論の慣行に沿って | 記載なし。「重要な利用」は報告が必要 | 記載なし |
見落としやすい規則もあります。
- Taylor & Francisは、生成AIで「原稿やその一部の最初の下書き」を作ることを認めていません。
- Science誌のAI利用ガイドラインは、文献検索や参考文献集めには申告を求めない一方、改稿の際に原稿の全部または一部をAIツールに入力することを認めていません(ガイドラインPDF)。
- Elsevierは、グラフィカル・アブストラクトに汎用の画像生成AIを使うことを禁じています。
- arXivは2026年10月1日から、内容の薄い論文やAIが書いた論文の増加を理由に、投稿者1人あたりの投稿を月2本までに制限しています。AIを研究の支援に使うこと自体は「申告する限り」認めています(arXivブログ)。
日本語の記載例#
以下は記載の雛形で、特定の雑誌や大学の公式文言ではありません。[ ]内を置き換え、当てはまらない部分を削り、投稿先が指定する見出しや言い回しに合わせてください。
論文:日本語の校正のみ(謝辞またはAI利用の申告欄。投稿先が不要としている場合は省略可)
「本論文の作成にあたり、著者らは[ツール名]([モデル名・バージョン]、[開発元])を[年月]に使用し、[第2章・第4章]の日本語表現の校正を行った。生成AIは内容、分析、参考文献を追加していない。著者らはすべての修正を確認し、本論文の内容に全責任を負う。」
論文:コードやデータ解析(方法)
「[作業内容。例:データの前処理と第3節の統計モデル]のコードは、[ツール名・モデル名・バージョン]([開発元]、[使用期間])の支援を受けて作成した。[著者のイニシャル]がAIの生成したコードをすべて確認・テスト・修正し、出力を[独立した計算/既知の結果/別の実装]と照合した。使用したプロンプトは[付録B]に示す。最終的なコードは[リポジトリまたはDOI]で公開している。」
論文:文献の検索や要約(レビューの方法の一部なら方法、それ以外は謝辞)
「[著者のイニシャル]は、[期間]に[ツール名・モデル名・バージョン]を用いて、[テーマ]に関する候補文献の探索と要約を行った。使用したプロンプトは[補足資料]に示す。引用した文献はすべて著者が入手して読み、AIによる要約は原文と照合したうえで、出典としては使用していない。存在が確認できない、または記述を裏付けない候補文献[件数]件は除外した。」
AIが挙げた文献が実在するかの確かめ方は、存在しない参考文献を見抜く方法で詳しく説明しています。
論文:図(図の説明文。全体の申告文にも記載)
「図[n].[タイトル]。著者の手書き図をもとに[ツール名・バージョン]([年月])で下書きし、著者が編集した模式図。[概念]を示すもので、研究データを示すものではない。」
顕微鏡像、ブロット、スキャン画像、結果の写真など、データそのものである画像を生成AIで作成・改変してはいけません。Elsevier、Wiley、Taylor & Francisは明確に禁じており、Science誌は説明用の図でも編集者の同意を求めています。
卒業論文・修士論文(規程が指定する場所。指定がなければ「はじめに」の末尾や謝辞、脚注)
「本論文の作成では、次のとおり生成AIを使用した。(1)第1章と第5章の文章の校正に、[ツール名]([バージョン])を[年月]に使用した。(2)指導教員の許可を得て、第3章3.2節の一部に[ツール名]([バージョン])が生成した文章を使用した。該当部分は脚注[n]に範囲を示し、入力したプロンプトは付録Aに記載した。生成AIの出力は筆者がすべて確認し、内容の正確性について筆者が責任を負う。」
九州大学工学部・工学府のように、AIが生成した文章を使う場合に「範囲、生成AI名、バージョン、プロンプト」の明記を求める規程もあります。所属先の規程の項目に合わせて書き換えてください。
授業のレポート(担当教員の指示に従う。指示がなければ本文末尾に)
「本レポートでは、構成案の検討に[ツール名]([開発元]、[年月日]に使用)を利用した。本文はすべて筆者が執筆し、事実関係は参考文献で確認した。」
授業によっては生成AIの使用自体が制限・禁止されていることがあります。まず授業の指示を確認してください。AIの出力を文章として引用する場合の書き方は、ChatGPT・Claude・Geminiの参考文献の書き方にまとめています。
英文誌に投稿する場合
英文誌では英語で書きます。Elsevierは独自の見出し「Declaration of generative AI and AI-assisted technologies in the manuscript preparation process」を、原稿末尾の参考文献の直前に置くよう求めています。古い見出し(…in the writing process)を引用している解説もあるので、現行のものを使ってください。推奨文言は次のとおりです(2026年10月9日確認、Elsevier、2026年6月更新の方針)。
"During the preparation of this work, the author(s) used [NAME OF TOOL / SERVICE] in order to [REASON]. After using this tool/service, the author(s) reviewed and edited the content as needed and take(s) full responsibility for the content of the published article."
AIを使わなかったことを書く場合、Taylor & Francisの推奨文言は "The authors report generative AI was not used in their research or preparation of this manuscript." です。
明記し忘れたときは#
早めに対処してください。ICMJEは、申告しないことは「是正措置が必要になる場合があり、状況によっては不正行為とみなされうる」としています。PLOSは、申告されないAI使用が研究公正の調査、査読の遅れ、不採択、撤回、懸念表明につながりうるとしています。審査中なら編集者に連絡して申告を加え、出版後なら雑誌の訂正手続きを問い合わせてください。
作業中からAIの使用を記録しておく#
申告文を書くのは投稿時で、作業から何か月も後になりがちです。そのころにはチャットが埋もれ、モデル名が変わり、どの段落がAIの文章から始まったか誰も覚えていません。出版社も記録を前提にしています。Elsevierは「使ったAIツールの名前、使った目的、監督の程度」を記録するよう求め、Wileyは主要な論点や結論に影響したかどうかも含めて、すべてのAI使用を記録しておくよう求めています。Taylor & Francisは、AIが研究方法の一部である場合、プロンプトを含む完全な記録を求めに応じて提出するよう求めています。
プロジェクトの横に、意味のある使用ごとに1行の簡単な記録があれば十分です。
| 日付 | ツールとモデル(表示どおり) | 作業 | 出力の行き先 | 確認した内容と確認者 |
|---|---|---|---|---|
| [日付] | [チャットアプリ]、[モデル名] | [テーマ]の論文12本を要約 | 読書メモのみ | 要約を原文と照合、[イニシャル] |
| [日付] | [コーディング支援ツール]、[モデル名] | ブートストラップ関数を作成 | analysis/ci.py、コミット[ハッシュ] | 参照実装と比較してテスト、[イニシャル] |
記録を信頼できるものにするコツです。
- モデル名は、後で思い出したものではなく、その時に画面に表示されていたものを写します。表示がなければ製品名と日付を書き、申告文にもそう書きます。
- 出力が論文、データ、コードに入ったときは、その会話を保存またはエクスポートします。研究に使った場合はプロンプトと設定も残します。
- 採用したものだけでなく、採用しなかったものも書きます。確認が行われたことの記録になります。
- コードのコミットメッセージにAIの支援を書いておけば、コードの履歴に残ります。
- AIが下書きした箇所は、書き直して確認が終わるまで作業文書上で印を付けておきます。
- 記録はデータやコードと一緒に保管し、最終的な申告文を確認する共著者を決めておきます。
日付の入った記録は、後で「いつ、何を持っていたか」を示す必要が出たときにも役立ちます(研究アイデアを守る方法、英語)。
Papexでできること#
Papexは、AIを使った研究のための記録サービスです(アプリの画面は英語です)。作業中の下書きは非公開です。接続したAIアプリ(ClaudeやChatGPT、PapexのMCPパッケージ経由のClaude Code、Codex、Cursorなど)は、研究者の許可のもとで、非公開の下書きを準備し、変更を提案し、参考文献を調べることができます。AIアプリは署名、自分の提案の承認、権利に関する表明、公開のいずれもできず、それができるのは研究者本人だけです。AIアプリが著者として記載されることもありません。
AIアプリが報告するモデル名やツール名は、報告どおりに「Agent-reported」の表示付きで記録され、Papexはそれを検証しません。Papexが受け取るのはAIアプリがツール呼び出しで送った内容だけで、会話そのものではないので、上のような自分の記録も必要です。
署名すると、その署名は特定の版と研究者を結び付けます。後で編集すると、新しい署名と日付を持つ新しい版になり、以前の版はそのまま残ります。Papexの外に出るのは、署名した版のソルト付きフィンガープリントだけです。これはOpenTimestampsでタイムスタンプが付けられ、ビットコインのブロックに記録されます(ビットコインのタイムスタンプが示すこと、英語)。
限界もあります。PapexはAIの使用を検出せず、研究結果を確認せず、雑誌の申告文の代わりにもなりません。署名済みの記録が示すのは、誰がどの版に署名し、その版がいつ存在したかです。査読ではなく、研究が正しいことや独自であることを示すものでもありません。署名した後、版を非公開のままにするか、招待した人と共有するか、公開するかは研究者が選べます。AIアプリとの接続方法は/docs/ai(英語)をご覧ください。
出典#
- ICMJE Recommendations(2026年1月更新)、2026年10月9日確認
- ICMJE: Defining the role of authors and contributors、2026年10月9日確認
- ICMJE: Use of AI by authors、2026年10月9日確認
- ICMJE: Preparing a manuscript for submission (Methods)、2026年10月9日確認
- COPE position: Authorship and AI tools、2026年10月9日確認
- Nature Portfolio: Artificial Intelligence (AI) editorial policy、2026年10月9日確認
- Springer Nature: AI use in manuscript preparation、2026年10月9日確認
- Science journals: Editorial policies、2026年10月9日確認
- Science journals' guidelines for AI usage (PDF)、2026年10月9日確認
- Elsevier: Generative AI policies for journals、2026年10月9日確認
- Wiley: AI guidelines for researchers、2026年10月9日確認
- Wiley: Ethics guidelines for authors、2026年10月9日確認
- Taylor & Francis: AI policy、2026年10月9日確認
- Taylor & Francis Author Services: Using AI in your research and manuscript preparations、2026年10月9日確認
- PLOS: Ethical publishing practice、2026年10月9日確認
- IEEE Author Center: Submission and peer review policies、2026年10月9日確認
- IEEE PSPB Operations Manual(2026年6月25日改訂)、2026年10月9日確認
- ACM Policy on Authorship(2026年5月14日更新)、2026年10月9日確認
- arXiv: Content moderation、2026年10月9日確認
- arXiv blog: Fair moderation, equitable access, and AI(2026年10月1日)、2026年10月9日確認
- 日本森林学会誌編集委員会「日本森林学会誌における生成AI利用に関する基本方針」(2025年12月23日)、2026年10月31日確認
- 教育システム情報学会「研究活動における生成AI利用に関する基本方針」(2023年8月7日)、2026年10月31日確認
- 九州大学工学部・工学府「学位論文における生成AIの利用に係る申し合わせ」(2023年11月22日、学科長会議・代議員会議決)、教務関係のページから、2026年10月31日確認
- 九州大学「教育における生成AIの利活用に関する基本姿勢」(2023年8月)、2026年10月31日確認
- 京都大学医学研究科「修士論文における生成AI利用について」、2026年10月31日確認
- 文部科学省「大学・高専における生成AIの教学面の取扱いについて」(2023年7月13日)、2026年10月31日確認
- 日本学術会議 提言「生成AIを受容・活用する社会の実現に向けて」(2025年2月27日)と記者会見の説明資料、2026年10月31日確認
- AMED「令和8年度 研究公正シンポジウム『研究の未来と公正性~生成AI時代の研究公正の課題とは~』開催のお知らせ」(最終更新2026年9月18日)、2026年10月31日確認
- OpenAI: New AI classifier for indicating AI-written text(2023年1月31日、2023年7月20日追記)、2026年10月31日確認(インターネットアーカイブの2024年12月31日の保存版で閲覧)
- Liang et al., GPT detectors are biased against non-native English writers(arXiv 2304.02819、Patterns 2023年7月)、2026年10月31日確認