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研究費の申請書に生成AIを使ってよいのか:NIH・NSF・ERC・UKRIが2026年に認めていること

ほとんどの助成機関は、条件つきでChatGPTやClaudeを研究費の申請書に使うことを認めています。NIH、NSF、UKRI、ERC、DFGなどが、申請者、審査者、そして自らに何を認めているかをまとめました。

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使えます。この記事で確認した主要な助成機関はどれも、研究費の申請書を書く手助けにChatGPT、Claude、Geminiなどのツールを使うことを、それぞれの条件のもとで認めています。アイデアは自分のものでなければならず、すべての文と参考文献に責任を負い、何も捏造したり盗用したりしてはなりません。また、多くの助成機関は使用の申告を求めています。最も厳しい線を引いているのは米国国立衛生研究所(NIH)で、「実質的にAIによって作成された」申請書を、申請者自身の独自のアイデアとはみなしません。審査者には、より厳しいルールが課されています。ほぼすべての助成機関が申請書を公開のAIツールに入れることを禁じており、それ以上を認める少数の機関も、安全なツールを通じた補助的な作業に限っています。判断そのものに使うことは認めていません。

より新しい問いは、助成機関自身が申請書の扱いにAIを使うのかどうかです。2026年11月3日、Nature IndexはElliot Yatesの記事「Will AI grant reviews make science more conservative?」(AIによる研究費の審査は科学をより保守的にするのか)を掲載しました。1記事が紹介する研究では、GPT-4oがオーストリア科学基金(Austrian Science Fund)に提出された実際の申請書を2件ずつ比べて選んだところ、60%のケースで人間による採否の決定と一致しましたが、新規性が高く評価された申請書を採択することには、審査者よりも「系統的に消極的」でした。記事は、英国研究・イノベーション機構(UK Research and Innovation、UKRI)がAIを活用した審査を検討していることにも触れています。ドイツ研究振興協会(DFG)はすでに、職員による申請書の確認、審査者の選定、審査結果の要約にAIの助けを使っており、米国の医療高等研究計画局(ARPA-H)は、あるプログラムの応募書類の最初の選考で言語モデルを試験的に使うと発表しました。

ルールは急速に変わっています。2025年12月から2026年10月までの間に、DFG、スイス国立科学財団(SNSF)、欧州研究会議(ERC)、オーストラリアのARC(オーストラリア研究会議)とNHMRC(国立保健医療研究評議会)、そしてUKRIが、いずれも審査者に認めることを書き換えました。2024年の助言の多くは、すでに古くなっています。

以下では、申請者が何をしてよく、いつそれを申告しなければならないか、12の助成機関(NIH、米国国立科学財団(NSF)、UKRI、Wellcome、ERC、Horizon Europe(ホライズン・ヨーロッパ)、DFG、SNSF、ARC、NHMRC、カナダの連邦助成機関、トルコ科学技術研究会議(TÜBİTAK))のルールの比較表、審査者が何をしてよいか、どの助成機関が自らAIを使っているかと新規性に関する研究が示したこと、そして申告文のひな形つきのチェックリストを順に紹介します。出典はすべて2026年11月5日に確認しました。

ChatGPT、Claude、Geminiで研究費の申請書を書いてもよいのか#

条件つきで、使えます。以下のどの助成機関も、申請者がAIの助けを借りることを禁じてはいません。共通する条件を最も明確にまとめているのは、2026年6月に改訂された英国の7つの助成機関の共同声明2(AMRC、British Heart Foundation、Cancer Research UK、Royal Academy of Engineering、Royal Society、UKRI、Wellcome)です。声明は「ChatGPT、Co-pilot、Claude、Gemini」を名指しし、認められる使い方として、翻訳や英語の改善から、「アイデアの創出や仮説の構築の補助」、データの要約、文献の比較、コードの作成、要旨の生成までを挙げています。申請者は、データの捏造や改ざん、盗用、偽の参考文献の作成、あるいは「人間の関与なしに、申請書の全体または一部を生成する」ことに、これらのツールを使ってはなりません。

執筆のどこまでをツールに任せてよいかは、助成機関によって異なります。

  • NIHは、「限られた部分について、または特定の状況で」AIの助けを使うことを認めていますが、「NIHは、実質的にAIによって作成された申請書、または実質的にAIによって作成された部分を含む申請書を、申請者の独自のアイデアとはみなさない」としています(NOT-OD-25-1323、2025年7月17日)。採択後にAIの使用が見つかった場合、研究公正局(Office of Research Integrity)に付託され、助成を失うこともありえます。AIによって一部の研究者が「1回の申請受付期間に40件を超える別々の申請書」を提出できるようになったため、NIHは2025年9月25日以降、いくつかの例外を除き、研究代表者(PI)1人あたりの申請を暦年で最大6件までしか受け付けていません。このルールは現在、2026年3月版のNIHのGrants Policy Statement4に含まれています。2026年5月14日の注意喚起は、「AIツール(エージェントを含む)を使って研究費の申請書や論文を完全に生成すること」を研究不正にあたりうる行為に挙げ、そのうえで、NIHは「責任ある研究慣行に従ってAIが使われている場合に、懸念を示すつもりはない」と付け加えています(NIH Extramural Nexus5)。
  • NSFは、AIの助けを借りた内容も含め、申請書の「正確さと真正性」について申請者に責任を負わせています。62025年12月8日以降、NSFの研究不正の定義は、「人工知能(AI)ベースのツールを含む、他の人物、組織、またはツールの使用や助けを通じて」行われた捏造、改ざん、盗用を対象としています(PAPPG 24-1, Supplement 17)。
  • Horizon Europeの申請書の様式には、「申請者は、申請書の内容(AIツールが作成した部分を含む)に全面的な責任を負う」とあります。申請者は、AIが生成した引用をすべて確認し、情報源を列挙しなければなりません。8
  • カナダの連邦助成機関は、AIで各部分の下書きや要約を作ることに「はい」と答え、「最終的な申請書の公正さと質に対する責任は、引き続き申請者であるあなただけにあります」としています。9
  • TÜBİTAKは、各部分の最初の下書きをAIで作ることを認めていますが、それを高リスクと位置づけています。最終的な文章にしてはならず、申請者自身の知識と分析に基づいて書き直さなければなりません。10

研究費の申請書でAIの使用を申告しなければならないのか#

助成機関によります。答えは4つのグループに分かれます。

  • 必須:Horizon Europeの申請者は、「どのAIツールを使い、どのように利用したかを、透明性をもって開示しなければならない」とされています。8TÜBİTAKは、オンライン申請の専用の欄で重要な使用を申告するよう求めており、ツールとバージョン、段階または部分、使用の性質を記載します。10Wellcomeは、実質的な使用を申請書の様式で申告するよう求めています(Wellcomeの方針、2026年4月8日更新11)。DFGは、「どの生成モデルを、どの目的で、どの程度使ったか」を尋ねています(DFG12)。
  • 期待される、または推奨される:UKRIは、「生成AIツールを使った場合、申請者と申請書は透明であることが期待される」としています(UKRIの方針、2026年7月6日更新13)。NIHの2026年5月の注意喚起は、研究者に「申請書、原稿、発表の中で、AIツールの使用を明確に記述する」よう勧めています。5
  • 奨励される:NSFの申請者は、「生成AI技術を使った場合、どの程度、どのように使ったかを、プロジェクト記述(project description)の中で示すことが奨励される」とされています。6
  • 求められたときのみ、または不要:ARCは、「ARCがこの情報を求めた場合に」透明であることを期待しています。14カナダは、「いいえ、申請者が申請書で生成AIの使用を開示する必要はありません」としていますが、AIが見つけた情報源は引き続き引用しなければなりません。9

ちょっとした助けであれば、通常は申告文は要りません。UKRIとWellcomeは、英語への翻訳、英語の改善、書式の調整や語数の削減を軽微な使用とし、アイデアの創出、仮説、要約、文献の比較、コード、要旨を実質的な使用としています。DFGは、文法・文体・綴りのチェックと翻訳ツールを対象外としています。12TÜBİTAKの基準はより低く、基本的な文法や綴りのチェックを超えるものはすべて対象になります。どの部分の下書きも、コード、データ解析、画像も含まれます。10

申告すると不利になるのでしょうか。4つの助成機関は、文書でそれを否定しています。UKRIは「この情報は審査の過程に影響しない」としています。13Wellcomeは「モニタリングのために」この情報を集めており、それは「審査の過程では使われない」としています。11DFGは、AIの使用は「申請書がどう審査されるかに影響しない」としています。12Horizon Europeの評価者は、作成時のAIの使用を「専門家の評価者が申請書を不利に扱う理由とみなしてはならない」と伝えられています。15UKRIはまた、審査者に「生成AIが使われたかどうかを審査の中で推測」しないよう求めています。

よい申告文に何を書くかは、論文・レポートで生成AIの使用を明記する方法をご覧ください。研究費の申請書の様式には、通常、記入欄と文字数の上限があります。短いひな形を、後のチェックリストに載せています。

主要な助成機関は何を認めているのか:ルールの比較#

各行は、2026年11月5日に開いた各助成機関自身のページに基づいています。「記載なし」は、確認したページがその点に触れていないことを示します。

助成機関(方針の日付)申請者申告審査者・審査委員会助成機関自身のAIの使用
NIH(2023年6月23日と2025年7月17日の通知、2026年5月14日の注意喚起)限られた助けは可。「実質的にAIによって作成された」ものは独自とみなさない。PI 1人あたり年6件まで推奨審査意見に生成AIは使えない。申請書の内容はオンラインのAIツールに一切入れない16申請書のAI検出
NSF(2023年12月14日の通知、2026年5月21日更新)可。研究不正の規定はAIツールにも及ぶ奨励申請書の内容を「承認されていない」ツールに入れない。公開されている情報は可記載なし
UKRI(2024年9月の方針、2026年7月6日更新)可。「人間の関与なしに」申請書の全体や一部を作らない。面接ではAIを使わない実質的な使用について期待される言葉を整えることのみ。申請書の内容は入力しないAIを活用した審査の遡及的な試行を2026年9月10日に発表17
Wellcome(2026年4月8日更新)可。制限は英国の共同声明のとおり実質的な使用は必須申請書は決して入力しない。「付随的な作業」のみ質の評価や採否の決定には使わない。応募資格と対象範囲の確認には保護されたツールを使う
ERC(科学評議会の見解、2026年3月25日更新。2026年3月23日の審査者向けガイドライン)可。「著者としての全面的かつ単独の責任」18記載なし言葉の推敲とテーマの検索。ローカルモデルでも、要約、優劣の判断、審査の下書きは不可19記載なし
Horizon Europe(2026年1月22日の申請書の様式、2025年12月1日の専門家向けブリーフィング)可。申請者が「全面的な責任を負う」必須:どのツールを、どう使ったか委任は不可。機密が守られる場合に、付随的な作業のみ記載なし
DFG(2026年3月の審査ガイドライン。2023年の審査での禁止は2025年12月に解除)原則として可必須:モデル、目的、程度ローカル、機関、または契約で保護されたツールで補助的な作業。申告する20形式要件の確認、審査者の選定、審査結果の要約、採否の推薦。すべて職員が確認
SNSF(2024年2月28日の申請者向けの案内、2026年10月の審査者向けガイドライン)可。申請者が「唯一の著者」21記載なし自分の見解を持った後で、文献、メモから下書きへ、言葉。安全なツール。申告する22「助成申請の処理を助けるためにAIアプリケーションを使っている」
ARCとNHMRC(2026年4月28日施行の方針)支援ツールとして可ARC:求められたとき。NHMRC:記載なしARC:文法、綴り、書式、読みやすさ。NHMRC:コメントを整えることは可、採点は不可23記載なし
カナダ:CIHR、NSERC、SSHRC、CFI(2026年10月30日にページ更新)下書きを含めて可不要禁止。機関が提供するツールでも、審査の下書きでも不可記載なし
TÜBİTAK(2026年1月のガイド)可。AIが下書きした部分は高リスク。機密データや個人データはツールに入れない重要な使用は必須評価に関わるあらゆる目的で禁止記載なし
表1 12の研究助成機関における、申請者と審査者に対する生成AIのルールと、助成機関自身のAIの使用(2026年11月5日確認)。

表に示せないことが2つあります。

  • 公募要領が優先する:個々の公募は、助成機関の一般的な方針より厳しいことがあります。UKRIは申請者に「個々の公募のページ」を参照するよう求め、17英国の共同声明は各助成機関の申告のルールを参照するよう求めています。TÜBİTAKは2025年10月、ガイドをすべてのプログラムの申請ページと審査者の様式に加えると発表しました。10
  • 罰則:生成AIに関わる不正の申し立てが認められた場合、UKRIはその人の申請を却下し、「無期限を含む任意の期間」申請を禁じることができます。13ARCは、審査者による不適切なAIの使用が疑われる場合、その審査を除外します。14

審査者は研究費の申請書の審査にAIを使ってよいのか#

審査そのものには使えません。それ以外の点では、助成機関は現在、3つのグループに分かれます。

審査では生成AIを一切使えない:NIHは2023年6月以来、審査者が「審査意見の分析と作成のために、自然言語処理器、大規模言語モデル、その他の生成人工知能(AI)技術を使うこと」を禁じています(NOT-OD-23-14916)。2026年5月の注意喚起も、この禁止を繰り返しています。5カナダの助成機関は、申請書の資料を「所属機関が調達・導入した生成AIツール」にアップロードすることも、自分の審査の下書きをアップロードすることも禁じています(FAQ9)。TÜBİTAKは、審査委員会の会議のためのメモや審査に関するメールを含め、評価に関わるあらゆる目的での生成AIの使用を禁じています(TÜBİTAKのガイド、2026年1月10)。

言葉の手助けのみ、ツールに申請書の内容は入れない:2026年7月6日まで、UKRIの審査者は「言葉、綴り、文法、書式を直す」ためにさえ生成AIを使えませんでした。現在は、申請書のどの部分も入力せず、ツールに「申請書の内容の理解、要約、評価を任せない」ことを条件に、「言葉を整える目的で」使うことができます。13ERCの2026年3月のガイドラインは、言葉の推敲と、テーマに関する情報の検索を認めています(ERC、2026年3月24日19)。審査者は、ローカルでオフラインのモデルであっても申請書を要約させてはならず、審査に重要な見落としがないかをツールに尋ねてもならず、AIの下書きから始めてもなりません。ガイドラインは、「審査の下書きを生成することは評価的な判断を伴い、たとえ審査者が後で文章を修正するとしても、評価の作業の委任にあたる」としています。ARC14は文法、綴り、書式、読みやすさだけを認め、申請書の資料を「ChatGPT、Gemini、Claude、Perplexityなどの」公開のツールに入れることを「機密の重大な侵害」としています。NHMRC23は、審査コメントの手助けは認めていますが、「申請書を評価、批評、採点する」ためにAIを使うことは認めていません。Wellcome、NSF、Horizon Europeは、背景情報の検索など、申請書をツールに入れずに済む付随的な作業を認めています。

申請書を見てもよい安全なツールを、補助的な役割で、申告して使う:DFGは2023年、審査でのAIの使用を「認められない」としました。24この規則は2025年12月以降、審査には適用されておらず、DFGは現在、拘束力のあるガイドラインのもとで、審査の準備にAIを使うことを認めています(DFG20)。認められるツールは、ローカルで動くもの、信頼できる機関で動くもの、または学習と保存を除外するライセンスのもとで商用クラウドで動くものです。認められる作業には、文献検索、自分の下書きの修正、「自分の箇条書きやメモを膨らませること」が含まれます。使用はDFGのelanシステムで申告しなければなりません。「AIが生成した文章を無批判に採用することは認められない」。違反は研究不正とみなされることがあります。SNSFは2026年8月20日に同様のルールを発表しました(SNSF25)。2026年10月のガイドラインは、審査者が「自分の意見を形成した」後でのみAIの使用を認め、「審査の全部または一部を生成する」ことや、長所と短所の一覧を作ることには認めず、「提供者による保存がなく、学習目的での使用もない」場合に限っています。22

共通する線は、委任しないことです。審査者が申請書全体を読み、判断を下します。学術誌の査読のルールは異なります。13の出版社、学術誌、助成機関、国際会議が査読者にAIで何を認めているかは、AIは論文を査読するのかをご覧ください。

助成機関は申請書の審査にAIを使っているのか#

一部の機関は使っています。ただし、専門家の判断そのものではなく、その周辺の段階でです。

  • DFGの本部事務局は、「助成申請の処理を補助するためにAIツールを使うことがある」としています。形式要件の確認、審査者の選定の補助、審査結果の要約、採否の推薦の準備で、すべての出力を職員が確認します。「助成申請についての決定が、AIシステムによって自動的に下されることはない」。申請者は、DFGのelanシステムでの権利に関する宣言(declaration of rights)を通じて、これらの条件を受け入れます。DFGは「したがって、審査の過程でのAIの責任ある使用に異議を唱えることはできない」としています。12
  • 「la Caixa」財団は、財団の職員と技術面の協力者による論文によれば、2023年にCaixaResearch Healthの公募でAIによる事前スクリーニングを始めました(Carbonell Cortésら、Data & Policy、2024年26)。過去の申請書とその審査スコアで学習した3つの分類モデルは、3つすべてが最下位のクラスに分類した場合にだけ申請書にフラグを付け、2人の人間の「適格性審査者(eligibility reviewers)」がすべてのフラグを確認します。どちらか一方でも合理的な疑いを持てば、その申請書は専門家の審査(ピアレビュー)に回されます。2023年には、モデルが493件のうち98件にフラグを付け、63件が除外され、35件が救済されました。
  • ARPA-Hは、2026年5月5日に始まったIGoRプログラムで「提出された資料の最初の審査を補助するために、安全な大規模言語モデル(LLM)ツールの使用を試験的に導入する」としつつ、「すべての評価と決定には、引き続き人間の専門家が責任を負う」としています(ARPA-H27)。
  • UKRIは2026年9月10日、10月から実施する8つの措置を発表しました。職員主導の審査前の不採択(デスクリジェクト)や、「AIを活用した審査の安全な使用の検討」が含まれ、検討はUK Metascience Unit(英国メタサイエンス・ユニット)との遡及的な試行から始まります。これは「過去の申請書からAIが出したであろう結論を、実際に下された決定と比べる」ものです(UKRI17)。掲げられた原則の1つは、「採否の決定における人間の判断の中心性を保つこと」です。
  • その他:英国の共同声明に参加する助成機関は、採否の決定に生成AIを使いませんが、「エンタープライズ向けのデータ保護のある」ツールで申請書を処理することがあり、2Wellcomeでは応募資格や対象範囲の確認に使われます。11SNSFは「助成申請の処理を助けるためにAIアプリケーションを使っている」としています(SNSF、2024年2月28日21)。NIHは、AIが生成した申請書を見つけるためにAI検出を使っています。3

申請者に知らされない場合に何が起きるかを示す事例があります。Times Higher Educationは2026年9月25日、UKRIの工学・物理科学研究会議(Engineering and Physical Sciences Research Council)を通じて資金を受けるサイバーセキュリティの研究ネットワークCRANEが、「AIに基づく審査」で179件の申請書を選別し、上位半分だけが人間の審査者に届いたと報じました(Times Higher Education28)。10月5日には、CRANEがAIによって除外されたすべての申請書を審査し直し、すでに出していた採択の通知を保留にしたと報じています。CRANEは「閉じた、隔離された、読み取り専用のLLM」を使ったと説明し、「この方法について十分に透明でなかったことを認識しており、そのことをお詫びします」と謝罪しました(Times Higher Education29)。

2026年10月15日に公開された欧州委員会の研究における生成AIに関するリビングガイドライン30の第4版は、こうした試みを歓迎しつつ、「申請者と審査者に対する高い透明性」と、「特にスクリーニング、順位付け、優先順位付け、除外における」安全策を求めています。また、申請書に仕込まれた隠しプロンプト、つまりAIの読み手を「より有利な評価へ」誘導するための見えない文字について助成機関に警告し、それを禁じるルールを設けるよう勧めています。

AIによる研究費の審査は科学をより保守的にするのか#

これがNature Indexの記事が提起する懸念で、その背景にある研究は小規模ですが、要点を突いています。コンサルティング会社Technopolisでデータサイエンスチームを率いるDiogo Machadoは、2021年にオーストリア科学基金(FWF)に提出された、数学、物理学・天文学、化学、生物学の139件の申請書を取り上げました(Machado、Scientometrics、2026年31)。各申請書には、新規性、科学的な質、チームの能力、実現可能性についての審査者の評点と、実際の採否の決定がそろっていました。GPT-4oは分野ごとに申請書を2件ずつ比較しました。与えられたプロンプトは「どちらの申請書を採択すべきか。AかBだけで答えよ。」だけで、最も多く勝った申請書が採択に選ばれました。1

モデルは60%のケースで人間の決定と一致しました。4つの評点のうち、不一致と有意に関連していたのは新規性だけでした。「人間の審査者が新規性が高いと評価した申請書は、人間によって採択され、LLMによっては採択されない可能性が大幅に高い」。31論文はこれを「LLMに基づく評価の保守的な傾向と整合的」とし、研究のデザインではそのメカニズムを特定できないと述べています。

限界は現実のものです。モデルは1つ、プロンプトは飾りのない1つ、助成機関は1つ、分野は4つ、申請書は139件で、モデルには審査基準が与えられていません。最後の点は、Nature Indexの記事も限界として指摘しています。1記事はさらに、新規性を直接判断するよう求められたモデルでもうまくいかないかもしれないと付け加え、新規性は非常に主観的で標準化しにくいと語るRAND EuropeのSusan Guthrieの言葉を引いています。この結果は警告であって、どこかの助成機関のシステムを測定したものではありません。

リスクが最も大きいのは、助成機関が実際にAIを使っている場面、つまり専門家が読む前に申請書が落とされうる初期の選別です。だからこそla Caixaはすべてのフラグを2人の人間に回しているのであり、2023年にフラグが付いた98件のうち35件が救済されたという数字は注目に値します。26申請者にとっての教訓は控えめなものです。専門家の読み手に向けて書き、何が新しく、なぜ重要なのかをはっきり書き、機械の読み手を出し抜こうとは決してしないことです。

提出前に何をすべきか:チェックリスト#

申請者向け:

  • まず公募自体のルールを読む。 一般的な方針より厳しいことがあり、申告の質問が申請書の様式にあることもあります。
  • アイデアは自分のものにしておく。 目的、仮説、新規性の論拠は、自分から出たものであるべきです。AIは自分で確認できる部分に使い、AIが下書きしたものは書き直します。
  • すべての参考文献と事実の記述を確認する。 いくつかの助成機関は、偽の参考文献を研究不正にあたりうるものとして挙げています。存在しない参考文献を見抜く方法をご覧ください。
  • ツールが自分の文章をどう扱うかを確認する。 未発表のアイデアを一般向けのチャットアプリに貼り付ける前に、データの利用規約を読みます。カナダのFAQは、「AIプラットフォームのプライバシーポリシー、データ保持の方針、再利用の条件」を確認するよう勧めています。9他人の個人データを本人の同意なしに貼り付けたり(UKRI)、機密データや未公表のデータを貼り付けたり(TÜBİTAK)してはなりません。
  • 求められた場所で、助成機関の求める形で申告する。 ツールとモデルの名前、それが何をどこで行ったかを書き、自分で確認したことを述べます。
  • 記録を残す。 申請書に反映されたプロンプト、出力、下書きを保存します。生成AIの使用を明記する方法の記事に、1行で書く記録の形式があります。
  • 隠しプロンプトは使わず、面接でAIを使わない。 欧州委員会は今、助成機関に前者を禁じるよう求めており、30UKRIは後者を禁じています。

手直しして使える申告文の例です(どの助成機関の公式の文言でもありません。TÜBİTAKのツール、バージョン、段階、性質のように、様式自体の欄に従ってください)。

「生成AIの使用:[画面に表示されたツールとモデル]([開発元])を[年月]に、[Xに関する文献の要約/Y節の構成案の提示/Zの解析コードの作成/概要の英語の改善]のために使用した。研究のアイデア、目的、仮説は申請者自身のものである。すべての記述と参考文献を原典と照合し、AIの助けを借りた文章はすべて修正しており、内容について全面的な責任を負う。」

軽微な使用でも助成機関が申告を求める場合の例:「[ツール]は、文法の修正と、語数の上限に合わせた文章の短縮にのみ使用した。内容は何も加えていない。」

審査者向け:

  • 申請書を機密として扱う。 申請書も、それについての自分のメモも、公開のチャットボットにアップロードしてはなりません。NIH、カナダの助成機関、TÜBİTAKでは、審査に生成AIを一切使わないでください。
  • まず自分の判断を固める。 ある程度の助けが認められている場合でも、確認したどの助成機関も、ツールに判断を下させたり、審査を代わりに書かせたりすることは認めていません。
  • 求められた場所では申告する。 DFG、SNSF、ARCはそれを求めています。また、申請者がAIを使ったかどうかを、審査の中で推測しないでください。

Papexの位置づけ#

研究費の申請書での申告は、様式の中の1文です。その裏にある記録は、あなたの手元に残すものです。Papexは、AIを使った研究について、そうした記録を残します(アプリの画面は英語です)。Papexの記録には、誰が何をしたかがCRediTの役割とともに書かれ、AIがどう関わったかが著者の申告どおりに書かれます。モデル名とツール名は自己申告です。責任を負う人が特定の1つの版に署名すると、その版のソルト付きフィンガープリントにOpenTimestampsでタイムスタンプが付けられ、ビットコインに記録されます。そのため、署名者、版、日付は、誰でも/verify(英語)で確認できます。作業中の下書きは非公開で、署名した後、版を非公開のままにするか、共有するか、公開するかを選べます。仮説や計画の、署名と日付のある記録は、申請書のAI利用の1文を裏付けることも、何をいつ持っていたかを示すこともできます(研究アイデアを守る方法)。

記録が示すのは、誰がどの版にいつ署名したか、そしてツールが何をしたと本人が述べたかです。査読ではなく、アイデアが正しいことや独自であることを示すものでもありません。

出典#

  1. Will AI grant reviews make science more conservative?(Elliot Yates、Nature Index、2026年11月3日)、2026年11月5日確認。記事の冒頭は無料で読めるが、残りはログインが必要なため、公開部分だけを使用 a b c
  2. Funders joint statement: use of generative AI tools in funding applications and assessment(Research Funders Policy Group、2026年6月改訂、Wellcome掲載)、2026年11月5日確認 a b
  3. NOT-OD-25-132: Supporting Fairness and Originality in NIH Research Applications(NIH、2025年7月17日)、2026年11月5日確認(2026年10月24日のインターネットアーカイブの保存版で閲覧)。公式ページは自動アクセスを遮断 a b
  4. Summary of Significant Changes to the NIHGPS for March 2026 Version(NIH)、2026年11月5日確認(2026年8月26日のインターネットアーカイブの保存版で閲覧)。あわせてNOT-OD-26-057(NIH、2026年3月25日)(2026年9月24日のインターネットアーカイブの保存版) ↩
  5. Helpful Reminders to Ensure Integrity of NIH-Supported Research When Using Artificial Intelligence(NIH Extramural Nexus、2026年5月14日)、2026年11月5日確認(2026年7月23日のインターネットアーカイブの保存版で閲覧)。公式ページは自動アクセスを遮断 a b c
  6. Notice to Research Community: Use of Generative Artificial Intelligence Technology in the NSF Merit Review Process(NSF、2023年12月14日、2026年5月21日最終更新)、2026年11月5日確認 a b
  7. PAPPG 24-1, Supplement 1(NSF、2025年12月8日施行)、2026年11月5日確認 ↩
  8. EU Grants: Application form (HE RIA and IA), V5.1(欧州委員会、2026年1月22日)、Part Bの生成AIツールの使用に関する案内、2026年11月5日確認 a b
  9. Guidance on the use of Artificial Intelligence in the development and review of research funding applications(CIHR、NSERC、SSHRC、CFI、2026年10月30日ページ更新)とFrequently Asked Questions(同じ機関)、2026年11月5日確認 a b c d
  10. Destek Süreçlerinde Üretken Yapay Zekânın (ÜYZ) Sorumlu ve Güvenilir Kullanımı Rehberi(TÜBİTAK、2026年1月、トルコ語)とガイドの公表に関するTÜBİTAKのお知らせ(2025年10月28日)、2026年11月5日確認 a b c d e
  11. Use of Generative Artificial Intelligence (AI) in our grant application process(Wellcome、2026年4月8日最終更新)、2026年11月5日確認 a b c
  12. AI in Proposal Preparation(DFG)、2026年11月5日確認 a b c d
  13. Use of generative artificial intelligence in application preparation and assessment(UKRI、2024年9月、2026年7月6日最終更新)と、更新の一覧を載せた方針のページ、2026年11月5日確認。以前の審査者向けの規則は2026年4月29日のインターネットアーカイブの保存版による a b c d
  14. Policy on Use of Generative Artificial Intelligence in the ARC's grants programs, version 2026.1(Australian Research Council、2026年4月28日施行)、2026年11月5日確認(2026年7月16日のインターネットアーカイブの保存版で閲覧)。公式サイトは自動アクセスに応答せず a b c
  15. Horizon Europe: Standard briefing for experts, version 13.0(欧州委員会、2025年12月1日)、2026年11月5日、リューネブルク・ロイファナ大学(Leuphana University Lüneburg)が掲載する写しで確認。この版の欧州委員会自身のアドレスは見つからなかった ↩
  16. NOT-OD-23-149: The Use of Generative Artificial Intelligence Technologies is Prohibited for the NIH Peer Review Process(NIH、2023年6月23日)、2026年11月5日確認(2026年10月24日のインターネットアーカイブの保存版で閲覧)。公式ページは自動アクセスを遮断 a b
  17. UKRI modernises grant assessment for the age of AI(UKRI、2026年9月10日)、2026年11月5日確認 a b c
  18. Current position of the ERC Scientific Council on AI(ERC、2023年12月1日、2026年3月25日最終更新)、2026年11月5日確認 ↩
  19. The use of AI in grant proposal evaluation: Guidelines for ERC panel members and remote reviewers(ERC、2026年3月23日)とERC clarifies limits on AI use in grant evaluation(ERCのプレスリリース、2026年3月24日)、2026年11月5日確認 a b
  20. AI in the Review Process(DFG)、あわせてDFG form 4.04, Guideline on the Use of Artificial Intelligence in the Review Process(2026年3月)とDFGのAIに関する概要ページ、2026年11月5日確認 a b
  21. The SNSF's approach to the use of artificial intelligence in funding applications(SNSF、2024年2月28日)、2026年11月5日確認 a b
  22. SNSF guidelines for reviewers and referees(SNSF、2026年10月)、2026年11月5日確認 a b
  23. Policy on Use of Generative Artificial Intelligence in Grant Applications and Peer Review(NHMRC、2026年4月28日)とStatement from the CEOs of ARC and NHMRC(2026年4月28日)、2026年11月5日確認(インターネットアーカイブの保存版、2026年7月16日と2026年7月16日で閲覧)。公式サイトは自動アクセスに応答せず a b
  24. DFG Formulates Guidelines for Dealing with Generative Models for Text and Image Creation(DFG、Information for Researchers No. 72、2023年9月21日)、2026年11月5日確認 ↩
  25. New guidelines for the use of artificial intelligence in peer reviews(SNSF、2026年8月20日)、2026年11月5日確認 ↩
  26. AI-assisted prescreening of biomedical research proposals: ethical considerations and the pilot case of "la Caixa" Foundation(Carla Carbonell Cortésら、Data & Policy、2024年10月23日)、2026年11月5日確認 a b
  27. Use of AI tools in IGoR proposal reviews(ARPA-H)とARPA-H launches new program to deliver rigorous, gold-standard research faster(ARPA-H、2026年5月5日)、2026年11月5日確認 ↩
  28. AI-only research grant rejection in UKRI-funded call sparks alarm(Frances Jones、Times Higher Education、2026年9月25日)、2026年11月5日確認 ↩
  29. Grant proposals rejected by 'AI triage' to be reassessed(Frances Jones、Times Higher Education、2026年10月5日)、2026年11月5日確認 ↩
  30. Living guidelines on the responsible use of generative AI in research, fourth version(欧州委員会、ERA Forum、2026年10月15日)、2026年11月5日確認 a b
  31. Generative AI bias against scientific novelty: a cautionary tale from a small-sample evaluation of research proposals(Diogo Machado、Scientometrics 131、7479–7497、2026年8月)、2026年11月5日確認(出版社がCrossrefに登録した要旨で確認)。出版社のページは自動アクセスを遮断 a b

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