← ブログ

解説27分で読めます

AIは論文を査読するのか:Springer NatureとGoogle DeepMindの査読AIと、査読者のAI利用ルール

Springer NatureとGoogle DeepMindが、査読者向けのAIアシスタントを試験しています。その役割と、出版社・学術誌・助成機関・国際会議の13の方針で査読者がAIで何をしてよいかを整理しました。

目次
  1. Springer NatureとGoogle DeepMindは何を発表したのか
  2. AIは自分の論文を査読するのか
  3. 出版社はなぜ査読にAIの助けを求めるのか
  4. 論文を査読するときにAIを使ってよいのか
  5. 助成機関とAIの国際会議は何を認めているのか
  6. ルールはどこで一致し、どこで分かれるのか
  7. 著者にとって何を意味するのか
  8. アシスタントについて、まだ分からないことは何か
  9. 研究者が今できることは何か
  10. 出典

2026年10月26日、Springer NatureとGoogle DeepMindは、査読者のためのAIアシスタントを共同で設計する研究提携を発表しました。アシスタントはGoogle DeepMindのGeminiモデルと、Googleのオープンソースの Agent Development Kit を基盤とし、Springer Nature専用の非公開のGemini Enterprise環境の中で動きます。そのため、開発と試験に使われる内容は出版社の手元にとどまります。現在はプロトタイプが試験されています。どちらの会社も、使う予定の学術誌を挙げておらず、いつ届くのかも明らかにしていません。

この発表は、研究者が今抱いている2つの疑問に関わります。AIが自分の論文を査読するのか、そして他人の論文を査読するときにAIを使ってよいのか、です。発表と出版社自身のルールから言える短い答えはこうです。アシスタントは人間の査読者を助けるためのもので、査読報告を書くためのものではありません。そして、私たちが確認したどの出版社と助成機関も、査読者が原稿を公開のチャットボットに貼り付けることを禁じています。それ以外の点では、ルールには重要な違いがあり、出版社のシステムの中のモデルが、すでにあなたの投稿論文を読んでいるかもしれません。

以下では、何が発表されたのか、出版社はなぜ助けを求めているのか、13の出版社、学術誌、助成機関、国際会議が現在、査読者にAIで何をすることを認めているのか、そしてそれが著者にとって何を意味するのかを順に紹介します。出典はすべて2026年11月2日に確認しました。

Springer NatureとGoogle DeepMindは何を発表したのか#

製品の発売ではなく、研究提携です。プレスリリース「Springer Nature and Google DeepMind collaborate to enhance the peer review experience」は、「アシスタントは、研究者がより効果的に論文を査読できるよう助け、原稿の中を読み進めるのを支え、より詳しく見る必要がありそうな箇所を特定する。それによって研究者は、専門的な科学的判断を要する問いにより多くの時間を使えるようになる」と述べています。アシスタントは「査読者が大量の文章、グラフ、図を分析するのを助ける」としています。

データについて、リリースは具体的です。「このシステムは、Googleのオープンソースの Agent Development Kit(ADK)を使って構築されている。Springer Natureの非公開で安全なGemini Enterpriseプラットフォームの中だけで動作する。つまり、AI査読アシスタントの開発と試験に使われる内容はすべてSpringer Natureの安全な環境の中にとどまり、著者と査読者の機密が終始守られる」。Research Informationは同じ点を、「システムの開発と試験に使われる原稿やその他の内容」と報じています。

現状について、リリースは「現在試験中のプロトタイプのアシスタントは、査読を、専門家による人間の判断をプロセスの中心に保ちながら、AIで科学の専門家に力を与える対話的な体験として捉え直す助けになる」と述べています。リリースは「試験の進展に応じて、さらに情報を共有する」と付け加え、Research Informationは「両社は、アシスタントをより広く展開する時期をまだ発表していない」と記しています。リリースはこの計画を、Springer Nature社内の査読プラットフォームSnappを含む、より広い取り組みの中に位置づけています。2026年3月のリリースによれば、Snappは「Springer Natureの学術誌の50%以上」で使われています。

Springer Natureの最高製品責任者(Chief Product Officer)Saskia Steinackerは、責任を軸に語りました。

査読者の専門知識と判断は、査読の根幹です。研究の量と複雑さが増すなかで、私たちには、AIがその専門知識を責任ある形でどう支えられるかを探る機会があります。査読者が、最も重要なところと、専門的な科学的判断を要する問いに時間を集中できるよう助けるのです。私たちにとって、革新と信頼は両立しなければなりません。それは、責任がどこにあり続けるのかを明確にしながら、AIが何を加えられるかを試すということです。

Google DeepMindの応用AI担当シニア・ディレクター(Senior Director, Applied AI)Seshu Ajjarapuは、量を軸に語りました。「私たちは共に、世界の主要な学術誌の編集基準を厳格に守りながら、増え続ける投稿数の負担を和らげるプラットフォームを作っています」。

Research Professional Newsと、Nature Asiaの日本語のプレスリリースも、同じ内容を伝えています。

ScholarPeerとDeep Reviewとは何か

リリースは、アシスタントが「ScholarPeerやDeep Reviewのような実績あるエージェント型の研究ツールを開発してきたGoogleの経験」に基づいているとしています。そのどちらがどの程度使われているかは書かれていません。どちらも公開されています。

  • ScholarPeerは、2026年4月8日のGoogle Researchのブログで紹介された、「学術論文を自動的かつ厳密に評価する査読エージェント」です。1つのエージェントが査読を文献に基づかせ、「ベースライン・スカウト(baseline scout)」が著者の見落とした比較対象を探し、質疑応答エンジンが主張を確認します。Googleはこれを実験的な研究プロトタイプと呼び、その査読は「編集や出版の決定の最終的な根拠として頼るべきではない」としています。
  • Deep Reviewは2026年10月14日に公開されました。もとになったのはGoogleのPaper Assistant Toolで、STOC 2026、ICML 2026、NeurIPS 2026、ICLR 2027で「希望した16,000本以上の原稿の著者に、非公開の投稿前フィードバック」を提供しました。このフィードバックは「国際会議の公式の査読プロセスから完全に切り離されていた」としています。Deep Reviewは「論理の一貫性と数学的な記述を確認し、改善を提案し、事実を裏付け、既存の研究と比較する」もので、「より高いレベルの判断は人間に委ねる」としています。誰でも週に2回まで無料で査読を受けられます。

新しいアシスタントは、そうした仕組みを出版社の内部で、人間の査読者の隣に置くものです。

AIは自分の論文を査読するのか#

Springer Natureが自社のルールに従うなら、査読者としては査読しません。同社の査読でのAI利用に関する方針は、査読者のAI利用を緑(green)、黄(amber)、赤(red)に分けています。「認められない」赤には、「査読報告全体の生成、採否の推薦の作成、批評のAIへの委任」が含まれます。Nature PortfolioのAI方針も「査読をLLMに委ねること」を赤としています。リリースもアシスタントをその範囲で説明しています。原稿の中を案内し、注意すべき点を示し、文章と図を分析するもので、「専門家による人間の判断が中心」にあるとしています。

ただし、モデルがあなたの論文を読むことはありえます。いくつかの大手出版社では、すでにAIツールが投稿論文の審査や確認を手伝っています。私たちが読んだ方針やリリースには、次のように書かれています。

  • Springer Natureは2026年3月、「2025年には、審査、編集上の評価、リテンション、研究公正を支える60近いAIツールが、150万本以上の論文に役立った」と述べました。Editor Evaluationツールは「50万本近い原稿に使われ、論文が健全な科学に基づいているかを編集者がすばやく知る助けになった」とし、Peer Reviewer Recommenderは「40万件以上の推薦を生成した」としています。
  • Nature Portfolio:「編集プロセスでは、人工知能は情報の要約、検索、強調にのみ使われる。すべての決定は編集者が行う」。
  • Elsevierの編集者は、「適切な査読者の特定、投稿論文と学術誌の対象範囲の照合、二重投稿の検出」のために「非公開のAIツールを利用できる」としています。
  • WileyのResearch Exchangeプラットフォームは、「査読者の選定と研究公正のスクリーニングで編集者を支えるためにAIを使っている」としています。
  • PLOSは「投稿論文の確認、スクリーニング、研究公正の調査を支えるためにAIツールを使っている」としています。
  • Science系の学術誌は、編集部が「機密を保つ方法で(つまりクローズドなLLMで)」AIを使うことを認め、「ツールの名前と使い方は学術誌のウェブサイトに掲載しなければならない」としています。

Springer Natureの計画で新しいのは、モデルの置き場所です。編集部だけでなく、査読者の手元に置かれるのです。

出版社はなぜ査読にAIの助けを求めるのか#

論文の量が、査読者が使える時間よりも速く増えているからです。この5週間の3つの例を挙げます。

arXiv:arXivは2026年10月1日のブログ記事で、2026年9月の投稿が40,363本だったと報告しました。2024年9月は20,569本、2016年9月は9,869本です。モデレーターは「対象の狭い、中身の薄い論文の増加」、「サラミ(salami)」論文、そして「AIが書いた、詰め込まれた論文の顕著な増加」を目にしています。10月1日以降、投稿者は1人あたり「暦月ごとに最大2本まで、同時に有効な投稿は合計3本まで」に制限されています。arXiv編集諮問委員会(Editorial Advisory Council)の委員長Thomas Dietterichの言葉が引用されています。「比較的少数の著者が低品質の論文を大量に投稿し、モデレーターの時間の不釣り合いに大きな部分を消費している」。

Scientific Reports:Retraction Watchは10月30日、米国国立医学図書館(NLM)が同誌を審査する間、Scientific Reportsの新しい論文のMEDLINEへの収録を止めたと報じました。同誌の編集長Rafal Marszalekは10月20日のメールで、「近年の大きな成長を受けて、Scientific Reportsは現在、米国国立医学図書館(NLM)の審査を受けている」と書いています。Retraction Watchの集計では、2026年にPubMedに収録されたScientific Reportsの論文は28,593本で、最新のものは9月15日に出版されていますが、同誌のウェブサイトによれば今年の出版数は41,122本です。NLMは審査の理由を明らかにしていません。Retraction Watchが引用したNLMの方針では、「学術誌に大きな変化があった」場合に学術誌を再評価し、NLMは「年間の出版数など、出版の慣行の変化」を監視しています。Scientific ReportsはSpringer Natureが出版しています。

AIの国際会議:GoogleのDeep Reviewの記事は、今年の「3つの主要なAIの国際会議(ICLR、NeurIPS、ICML)への投稿は74,000本以上」で、「2025年の約45,000本、2024年の32,000本、2023年の23,000本から増えた」としています。それぞれに複数の査読が必要です。

査読者もAIに頼るようになっていますが、いつもルールの範囲内とは限りません。Research Professional Newsは、助成機関Research Irelandで個人主導研究の責任者を務めるRoisin Cheshireが、10月にブルノで開かれた欧州大学連合(European Universities Alliances)の会議で、研究費申請の審査について語った言葉を伝えています。「AIの使用については今のところルールを設けていますが、[しかし]少し苦労しています。明らかにAIが生成した審査が届き始めています。それをどう取り締まり、その審査者に、この審査は使えないとどう伝えればよいのでしょうか」。同じ記事は、Frontiersが2025年12月、査読でのAIについて「責任ある、監督された」使い方を推奨していると述べたことにも触れています。

Springer Natureの計画は、その代わりに、出版社自身のシステムの中にあるツールを査読者に提供するものです。

論文を査読するときにAIを使ってよいのか#

限られた作業なら、ほとんどの出版社で使えます。公開のチャットボットに原稿を読ませることは、どこでも認められていません。2026年11月2日に読んだ各方針の内容です。

出版社・学術誌原稿をAIツールに入れてよいか査読者がAIを使ってよいこと申告は必要か
Springer Nature公開のツールや安全でないツールには不可。安全なツールでは「限定的な使用」が認められる場合がある明快さ、語調、構成、チェックリスト(緑)。限界の検討、自分の推論の検証(黄)必要(報告の中で)
Nature Portfolio「安全でない、または公開のAIシステム」には不可Springer Natureの枠組み。査読の委任は赤必要(「あらゆるAIの使用」)
Elsevier(2026年6月更新)不可。「その一部」も不可非公開のツールのみ。報告の言葉と構成、背景となる文献検索必要(ツールと目的)。綴りと文法は対象外
Wiley(2026年7月)不可(「全体でも一部でも」)考えの整理、明快さ、語調、翻訳、方法に関する一般的な質問必要(担当編集者に)
Taylor & Francis不可査読の言葉の改善記載なし
IEEE「公開のプラットフォーム」を通しては不可記載なし記載なし
ACM機密を約束しない第三者のシステムには不可報告の質と読みやすさ。特定につながる内容を除いたうえで記載なし
Science系の学術誌不可入力を保存せず学習にも使わないツールで、査読の言葉を整える必要(査読の中で)
PLOS不可。原稿の要約も不可査読の書き方、自分のコメントの翻訳や校正、公開済みの一般的な情報必要

各方針の言葉では、次のとおりです。

  • Springer Nature:「重要なのは、AIを使うかどうかではなく、どう使うか、そして査読報告が明らかに独立した専門家の判断の産物であり続けるかどうかだ」。安全なツールでは、その利用条件によって「原稿の内容の限定的な使用は認められる場合がある」としています。助言は「AIは『何に注目すべきか』に使い、『何を結論すべきか』には使わない」です。
  • Nature Portfolio:「査読者は、あらゆるAIの使用を報告の中で開示すべきである」。
  • Elsevier:「査読者は、投稿された原稿やその一部をAIツールにアップロードしてはならない」。査読者向けのFAQは、「AIツールが『非公開』とされていても、原稿をアップロードすれば、機密の未発表の研究を第三者のシステムと共有することになる」と付け加えています。
  • Wiley:「査読中の原稿は機密であり、全体でも一部でもAI技術にアップロードしてはならない」。「編集者は、不適切なAIの使用の兆候がある査読報告を無視する権利を持つ」。
  • Taylor & Francis:「査読者は、ChatGPTのようなLLMベースのツールを含め、人工知能ツールを使って原稿や提案書の査読報告を生成してはならない。ただし、査読の言葉を改善する補助として生成AIを利用することはできる」。
  • IEEE:「査読中の原稿に含まれる、または原稿に関する情報や内容を、査読の内容をAIで生成するために(直接的にも間接的にも)公開のプラットフォームで処理してはならない。AIシステムは一般にあらゆる入力から学習するため、そうすることは機密の侵害とみなされる」。
  • ACM:「査読者は、著者に向けた査読報告の質と読みやすさを高めることだけを目的として、生成AIやその他の第三者のツールを使うことができる。ただし、投稿論文、著者の身元、査読者の身元、その他の機密の内容を特定しうる査読の部分は、第三者のツールにアップロードする前にすべて取り除かなければならない」。
  • Science系の学術誌:「原稿の機密を侵害するおそれがあるため、査読者は原稿のいかなる部分もLLMやその他のAIツールに入力してはならない」。査読の言葉を整えることは、「システムが入力を保存せず、モデルの学習にも使わない場合」に認められ、「ツールの名前と使い方を査読の中で申告しなければならない」としています。
  • PLOS:「AIツールは査読者にも、決定を下す編集者にもなれず、査読者や編集者が投稿内容の要約や評価に使うべきではない」。「査読者や編集者によるAIの使用は、すべて開示しなければならない」。

助成機関とAIの国際会議は何を認めているのか#

助成機関はより厳しく、AIの最大級の国際会議のうち2つは、それぞれ違う道をとっています。

助成機関・国際会議申請書や論文をAIツールに入れてよいか審査者がしてよいこと申告は必要か
NIH(2023年6月23日の通知)「オンラインの生成AIツール」には不可審査意見の分析・作成に生成AIは使えない。アクセシビリティのためのツールは事前に承認を受けたもの審査者は署名する合意書で禁止を確認する
NSF(2023年12月14日の通知、ページは2026年5月21日更新)「承認されていない」ツールには不可公開されている情報をAIツールと共有する記載なし
NeurIPS 2026(メイントラック)会議が認めたLLMのみ、それが許される論文でのみ計画中の実験の一部として記載なし
ICLR 2027AI方針のページに記載なし査読の執筆を助ける「限定的で責任ある使用」必須。自分で書いた最初の草稿も提出
  • NIH(米国国立衛生研究所):「NIHは、NIHの科学的な査読者が、研究費の申請書や研究開発の契約提案書の審査意見を分析・作成するために、自然言語処理器、大規模言語モデル、その他の生成人工知能(AI)技術を使うことを禁止する」。NIHの査読方針のページには今もこの通知が載っており、これを変える新しいNIHの通知は見つかりませんでした。
  • NSF(米国国立科学財団):「NSFの審査者は、提案書の内容、審査情報、関連する記録を、承認されていない生成AIツールにアップロードすることを禁じられている」。審査者は「公開されている情報を、現世代の生成AIツールと共有することができる」としています。
  • NeurIPS 2026:Main Track Handbookは、「投稿に関する情報を、認められていないLLMを含め、誰とも共有、議論、開示してはならない」としています。また、「詳細は変わる可能性がある」としつつ、計画中の実験を説明しています。すべての査読者に、「OpenReviewを通じて私たちが提供するLLMの支援」を使える論文と、LLMを一切使えない論文の両方を割り当てるというものです。
  • ICLR 2027:査読者向けの方針は、「人間による査読の執筆を助けるための、AIツールの限定的で責任ある使用」を認めていますが、「AIツールの使用の開示は必須」です。査読の「いずれかの部分を生成または編集するために」LLMを使った場合は、「自分で書いた元の論文評価と、LMとのすべてのやり取り」を報告しなければなりません。LLMが生成した虚偽やハルシネーションは、「その(メタ)査読者が著者となっているすべての論文を査読前に不採択とする」ことにつながりえます。

ルールはどこで一致し、どこで分かれるのか#

一致しているのは3点です。査読の責任は査読者にあり続けること。AIは査読報告を書かず、推薦も行わないこと。未発表の研究は機密のままであること。

分かれるのはツールです。Elsevier、Wiley、Taylor & Francis、Science系の学術誌、PLOS、NIHは、原稿の内容をAIツールから完全に遠ざけています。ElsevierとScience系の学術誌は、査読者が自分の文章に使えるツールも、非公開のもの、または入力で学習しないものに限っています。Springer Nature、IEEE、ACM、NSF、NeurIPSは、別のところに線を引いています。公開の、安全でない、承認されていない、あるいは認められていないツールです。そこには、原稿を見てもよい安全なツールの余地が残ります。

出版社が運営するアシスタントは、その余地に収まります。出版社自身が提供する安全なツールです。Wileyは将来ありうる使い方として、「安全な編集環境」の中での「機密を保った査読の支援」を挙げており、NeurIPSは一部の査読者に、OpenReviewを通じて認められたモデルを提供しています。私たちが読んだ方針のどれも、出版社自身のアシスタントの助けを査読者がどう申告すべきかは、まだ定めていません。

著者にとって何を意味するのか#

出版社の内部で、モデルがあなたの原稿を読むことはありえます。 それは出版社自身のルールの範囲内で、同じルールが、査読者が原稿を公開のチャットボットに貼り付けることを禁じています。学術誌がどのツールを使っているか知りたければ、学術誌に尋ねてください。Science系の学術誌のガイドラインは、編集部が使うツールを学術誌のウェブサイトに掲載しなければならないとしています。

AI利用の開示は、念入りに読まれると考えてください。 Wileyは編集者に「原稿の作成でのAIの使用は、不採択の理由にはならない」と伝えています。代わりに確認する問いには、「AIの使用に関する開示は、原稿に示されている内容と一致しているか」が含まれます。PLOSは「論文単位の確認や評価で、利用可能なAI検出ツールを使うことがある」とし、開示されていないAIの使用は研究公正の調査につながりうるとしています。Springer Natureは、同社のAIツールが2025年に「画像の操作、偽の参考文献、捏造された文章などの問題」がある論文を25,000本見つけたとしています。AIが何をしたかの明確な記述と、自分で確認した参考文献リストがあれば、こうした問いには尋ねられる前に答えられます。私たちのガイドでは、AIの使用を明記する方法とハルシネーションによる参考文献を確認する方法を扱っています。PapexのJournal AI policies(英語)のページでは、29の出版社、学術誌、プレプリントサーバー、ガイドラインが著者に何を書くよう求めているかを引用しています。同じ週にIEEEで起きた過去最大の撤回からは、ペーパーミル(paper mill)の論文やAIで捏造された論文をどのチェックが見つけたかが分かります。IEEEはなぜ1日で論文1,400本を撤回したのかをご覧ください。

ルールは、査読者への回答にも及びます。 Science系の学術誌の2026年9月のガイドラインは、「回答を生成または補強するために、査読の全部または一部をLLMやその他のAIツールに入力すること」を認めていません。回答の言葉を整えることは、ツールを申告すれば認められます。

アシスタントについて、まだ分からないことは何か#

発表は、多くの研究者が知りたいことを明らかにしていません。

  • Springer Natureのどの学術誌が、いつ試験または利用するのか。
  • 査読者が使うかどうかを選べるのか、著者に知らされるのか。
  • Springer Natureの方針がほかのAIの使用の申告を求めているように、査読者はこのアシスタントの使用も申告しなければならないのか。
  • アシスタントが指摘した点を、編集者や著者が見られるのか。
  • どの程度うまく機能するのか。プロトタイプの評価が公表されているのは見つかりませんでした。

研究者が今できることは何か#

査読者としては、次のことができます。

  1. まず学術誌の査読者向け方針を読む。 同じ出版社の学術誌でも、上の表より厳しいルールを定めていることがあります。
  2. 原稿を公開のAIツールに入れない。 Springer Natureが勧めるように、自分のメモをもとに作業し、一般的な質問をします。
  3. AIで手を入れる前に、自分の評価を書く。 ICLRは今、その草稿を求めています。どこであってもよい習慣です。
  4. ツールが何をしたかを申告する。 学術誌が求める形式で行います。

著者としては、AIの使用を後からではなく、作業しながら記録しましょう。どのモデルのどのバージョンか、何をしたか、誰が結果を確認したかです。

Papexが取り組んでいるのは、この部分です。研究のある1つの版でAIが何をしたかを示す、署名された記録です(アプリの画面は英語です)。

  • 作業中:Papexに接続したAIアプリは、非公開の下書きを準備し、作業セッションごとに非公開の要約を残せます。AIアプリは「署名、自分の提案の承認、権利に関する表明、公開、公開済みの記録の変更ができず」、「AIアプリが著者として記載されることはない」とされています(AIアプリのガイド、英語)。
  • 署名するとき:「AI in this version」(この版のAI)カードに、接続したアプリが行ったと報告した作業が、研究者自身が申告するAIの作業とともに表示されます。署名するとそれが確定し、署名した版の「Who did what」(誰が何をしたか)の欄に残ります。モデル名とツール名は「AIエージェントが報告したとおりに保存され、Agent-reportedと表示される」もので、Papexはそれを検証しません(FAQ、英語)。
  • 学術誌に向けて:署名した記録から、PapexはJournal AI policiesに載っている形式のいずれかでAI利用の申告文を作成します。Elsevier、Springer Nature、Wiley、Taylor & Francis、IEEE、ACM、arXiv、AMS、またはICMJEとCOPEに沿った一般的な形式です。

署名は、署名した人々を特定の1つの版に結び付け、そのタイムスタンプは、その版がその日付までに存在していたことを示します。どちらも科学的な妥当性や査読を示すものではなく、表に挙げたどの出版社もPapexの記録を求めてはいません。申告文は、学術誌が求める場所に貼り付けて使います。

出典#

ほかの記事

すべての記事